学術奨励賞・学術委員会報告
学術奨励賞
学術委員会報告
妊娠中の家庭血圧について -我が国の多施設前方視的研究-
近年、一般成人の高血圧の診断では診察室で測定した血圧よりも家庭血圧の値を優先するよう診療ガイドラインが変更になっています(高血圧診療ガイドライン2019)。妊娠中の血圧管理においても、家庭血圧測定が広く行われるようになってきましたが、妊婦の家庭血圧測定に関して、正常値・高血圧の基準値をきちんと調べた研究はこれまでありませんでした。
今回、日本妊娠高血圧学会では学術委員会を中心に、我が国の一般妊婦さんの家庭血圧のデータを前方視的に集積し、妊娠週数ごとの家庭血圧値の推移及び高血圧の基準値についてHypertension Researchに報告しました。その研究論文についてご紹介させていただくとともに、この研究で報告した妊娠中の家庭血圧を用いた妊娠週数毎の高血圧の基準値を掲載します。
日常診療の中でお役立ていただければ幸いです。
注)診察室血圧が高値でも家庭血圧が正常範囲ということで外来管理とし、脳出血を発症した事例も報告されています。日常診療では、診察室血圧・家庭血圧両方を参考に妊婦さんの状態を総合的に判断するようお願いいたします。
Hypertension research 2022,45(10):1563-1574 doi: 10.1038/s41440-022-00992-3. Y. Suzuki et al. A multicenter prospective study of home blood pressure measurement (HBPM) during pregnancy in Japanese women https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35974173/ |
妊娠高血圧学会学術委員会を中心に以下のような研究をおこなっています。
- 血圧測定とその評価に関する実態調査
H.Suzuki Hypertension Research in Pregnancy 2021 DOI - 高血圧及び白衣高血圧を占める日本人妊婦の妊娠予後:多施設コホート研究
C. Hirashima Hypertension Research in Pregnancy2022 - 胎児発育不全・胎盤機能不全の診断に関する調査
K.Mimura Hypertension research in Pregnancy - 妊婦の高血圧診断基準値に関する検討
H.Suzuki Hypertension Research in Pregnancy 2022
現在行われている研究
- 妊娠高血圧症候群発症時期の検証(早発・遅発の週数検証)(2022年終了予定)
- 早発型妊娠高血圧腎症の3歳児発達指数への影響(論文投稿中)
- 妊娠高血圧症候群における臓器障害、子宮胎盤機能不全(特に血小板と胎児発育不全)と母時予後、PE/GHの発症率の変化 多施設共同後向きコホート研究(研究開始に向けて準備中)
- 妊娠高血圧症候群定義改訂後の問題点についてのアンケート調査(第44回学術集会で報告)
- 産後蛋白尿の判定基準の設定:多機関協働前向きコホート研究(症例集積中)
- 随時尿蛋白/クレアチニン比による母児の予後調査(論文投稿準備中)
学術助成金内規
学術研究助成金 内規
課題研究
課題研究は令和2年度をもって終了しています。