日本妊娠高血圧学会|Japan Society for the Study of Hypertension in Pregnancy

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若手の広場

とにかく奥がふか〜い疾患 それが妊娠高血圧症候群

中堅から若手まであらゆる先生 HCPの学会参加をお待ちしています

幹事長 川端伊久乃(日本医科大学 産婦人科)

幹事長 川端伊久乃

2025年10月より渡辺員支理事長の元、幹事長を拝命いたしました。どうぞよろしくお願いいたします。

 妊娠高血圧症候群は、かつては「学説の疾患」と呼ばれ、その病態や原因について数えきれないほどの議論が交わされてきました。本学会の学術集会でも、昔は大激論(ときには大喧嘩!?)がしょっちゅう起こっていたとか…。その結果?多くのことが少しずつ明らかになり、妊娠高血圧症候群は妊娠・分娩の管理だけでなく、プレコンセプション期から出産後、おばちゃん/おばあちゃんになるまで、「女性の一生涯に関わる疾患」として認識されるようになりつつあります。また生まれた赤ちゃんへの影響、さらにはその子が出産する時のこともわかってきました。こうした流れの中で、近年本学会では産科医だけでなく、腎臓・循環器・内分泌などの内科の先生、小児科の先生、助産師さん、保健師さん、薬剤師さん、栄養士さんなど、多職種のみなさんと一緒に、この疾患を中心とした女性の健康管理に力を注いできました。2023年からスタートした「ヘルスケアプロバイダー認定講習会」には、毎年たくさんの方にご参加いただき、本当に心強く感じています。将来的には、妊娠高血圧症候群を経験した女性やご家族を中心に、医療者・企業・地域がゆるやかにつながるコンソーシアムのような仕組みも作れたら…と、少しずつ構想を温めているところです。

 一方で、この疾患はとにかく「奥が深い」のが特徴です。発症機序、リスク因子、妊娠中の管理、発症後の治療、分娩のタイミング、産後の短期・長期予後、生まれた赤ちゃんの将来、インターコンセプションケア…。わかってきたことも増えましたが、「まだまだわからないことだらけ」でもあります。胎盤・免疫・内分泌・遺伝医学に関連した基礎的なテーマから日常診療でのちょっとした臨床的疑問まで、clinical question はいくらでも生まれてくる疾患です。「こんな小さな疑問でもいいのかな?」「データが少ないけど…」と思うようなことでも構いません。基礎研究でも臨床研究でも、まずは本学会で発表しましょう!出身大学や医局の垣根を超えて、教え好きの諸先輩方との熱い議論の上、いろんな知識や着想が得られると思います。日本妊娠高血圧学会では、毎年一般演題から基礎部門・臨床部門に分けて「学術奨励賞」を選出しています。2025年度からは、新たにヘルスケアプロバイダー賞の選考も始まりました。関連する国際学会への参加支援も(毎年ではありませんが)積極的に検討しています。

 ぜひ日本妊娠高血圧学会に入会いただき、この“ふか〜い”疾患の世界にどっぷり浸かってみませんか。診療ガイドラインの策定や学会運営に関わってくれる若手の先生方・医療スタッフさんも大歓迎です。みなさんの参加を心からお待ちしています。

若手医師向け企画

第39回学術集会 ハンズオンセミナー

「産科医でもできるpoint-pf-care 母体新血管エコーハンズオン」

  • プランナー 味村和哉(大阪大学)
  • 講師 神谷 千津子(国立循環器病研究センター)
    小永井 奈緒(国立循環器病センター)
    塩野入 亜記(国立循環器病センター)
    川口 樹里(国立循環器病センター)
  • 共済 GEヘルスケア・ジャパン株式会社

第38回学術集会 若手医師向けセミナー

「Hypertensive disorders of pregnancy in Asia 」

  • バングラデシュのHDPの現状:Monsur Mahina(熊本大学産婦人科)
  • 台湾のHPDの現状:塩澤 正之(順天堂大学産婦人科)
  • 中国のHDPの現状:Li Chenyan(熊本大学産婦人科)
  • ヨーロッパのHDPの現状(論文紹介):岩越 裕(熊本大学産婦人科)
  • アメリカのHDPの現状(論文紹介):下川 理沙(熊本大学産婦人科)

第37回学術集会 若手医師ミニシンポジウム(ディベート)

「Wow!分娩子癇だ~!そのときあなたはまずどうする?!!!」

  • 経腟分娩派
    中尾 真大(榊原記念病院)、小和 貴雄(大阪大学)、奥山 亜由美(昭和大学)、永昜 洋子(大阪医科大学)
  • 帝王切開派
    角田 陽平(日本医科大学)、山中 弘之(聖マリアンナ医科大学)、小畑 聡一郎(横浜市立大学)、瀧口 義弘(和歌山県立医科大学)、鮫島 浩輝(埼玉医科大学)

第36学術集会 若手医師ミニシンポジウム(ディベート)

第1部「常位胎盤早期剥離に伴うIUFD児の娩出方法」

  • 経腟がんばる派
    増子 寛子(埼玉医科大学総合医療センター)、江口 武志(岡山大学)
  • 経腟無理しない派
    重光 愛子(奈良県立医科大学)、村上 祥子(愛媛大学医科大学)、須江 英子(東京大学

第2部「妊娠高血圧症候群妊婦における妊娠継続目的でのアンチトロンビン製剤の補充」

  • 使用積極派
    赤坂珠理晃(奈良県立医科大学)、川端 公輔(北海道大学医学部)
  • 使用慎重派
    脇本 哲(大阪府立急性期・総合医療センター)、重見 大介(日本医科大学)